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「松戸博士の研究 その⑧」について


「松戸博士の研究 その⑧」について
 
《 前回からの続き 》
 
まるで半透明のようになってしまった
松戸博士Bと松戸博士Cを見た松戸博士Aは、
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と松戸A
 
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と松戸B
 
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と松戸C
 
「そういう事って、どういう事だ」
と松戸A
 
「もう予想はついてるだろう。
同じ三人なんだから」
と松戸B
 
「俺たちが三人になったのは
このウィルスを発生させ
培養し世界に拡散させるための
人類史の必然だったんだよ。そう思える」
と三人の誰かが言った。
 
三人とも似たような事を
考えていたのだ。
 
寿命が伸びても
健康で生きなければ
生きがいを見失ってしまう。
 
それを救うために
松戸博士は、存在したのかもしれない。
 
そして一定の成果が見えたので
三人は、元の一人になろうと
しているのかもしれない。
 
「それが自然の摂理というもの
なのかもしれない」
三人の中の誰かが言った。
 
やがて松戸博士Bと松戸博士Cは消えた。
二人に感謝しながら
残った松戸博士は研究を続け
ついに完成した。
 
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しかし、このウィルスを
どうやって使えばいいのか?
松戸博士は悩んだ。
 
健康になれるからといって
むやみやたらと
接種していいわけではない。
 
健康に対する
捉え方も個人によって違う。
 
その時、
大学の午後の講義の時間を
知らせるアラームが鳴った。
 
研究室のドアに鍵をかけ
教室へ向かおうとした時、
足元から一匹のハエが
入っていった事に
松戸博士は気付かなかった。
 
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松戸博士が講義中に
ハエはウィルスの高濃度培養液が
入ったフラスコの縁に止まっていた。
 
そして縁を歩き回り
足にたくさんのウィルスを付着させ
換気口から飛び出していった。
 
それから数週間後、
各地で異変が起きていた。
 
下半身不随のため
施設で10年間、
寝たきりだった患者が
 
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音楽を聞いたとたんに
僅かずつだが体を動かし始めた。
 
そのうち、他の患者や
医師・看護師も一緒になって
歌い・踊り出すうちに
歩き出し始めたのだ。
 



長い間、自分の部屋に
閉じこもっていた青年が
 
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歌いながら部屋のドアを
開けて出てきた。
 
今までの自分の気持ちを
ラップミュージックに合わせて
口にしているうちに
リズムに合わせて体も動き出し
やがて汗をかきながら
家族も一緒になって
歌い、踊り始めた。
 




民族対立で紛争状態にあった
国境警備エリア付近では
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音楽が鳴り響くと
敵味方入り乱れて
フォークダンスを踊り始め
各国の言語で歌が飛び交い始めた。
 
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サミットの終了日に
成果を内外に示すべく
共同宣言を出す準備を
していた事務方同士は
頭を痛めていた。
 
それぞれのトップが国の威信をかけて
妥協点を見いだせずに時間ばかりが過ぎていった。
 
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結局、結論がでないまま
会議は延長になり
夕食会になった。
 

その席上、
生オーケストラの音楽が鳴りだすと
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各国の首脳がテーブルの上に
乗って踊り始めた。

あれほど犬猿の仲だった
国同士が手を取り合い
踊り、歌い出した。



そしてサミット史上初の
メロデイーがついた
共同宣言が採択された。

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そのうち誰もが
歌うように話しはじめ
日常生活は
まるでミュージカルのようになった。

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健康に生きていくためには
人間だけでなく
社会も健康でなければならない。

松戸博士は改めて
そんな思いを抱き、
今日も歌い、踊りながら
健康とは何なのか
さらなる研究を重ねている。


おそまつさまでした。




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16
2019
comment
37

「松戸博士の研究 その⑦」について

「松戸博士の研究 その⑦」について
 
《 前回からの続き 》
 
松戸博士は
田中君に電話をかけて
自分の立てた仮説を
話し始めた。
 
「自分の体内にいるウィルスは
もしかしたら
今、研究している
健康に生きていくための
一つの解決策となるような気がしているんだ」
と松戸博士。
 
 
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と田中君。
 
松戸博士は、
この間、自身が体験した
ウィルスの影響を話した上で
 
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と松戸博士。
 
「新種の
まだ解明されていない
ウィルスを接種するのは危険じゃないか?」
と田中君。
 
「いや、もちろん
人体への影響や安全性を確認をした上での
事だけれど」
と松戸博士。
 
「う~ん、どうだろう。
ウィルスというのは突然変異を
起こしやすいし、どんな変化が起きるか
まったくわからないだろう?」
と田中君。
 
「その通りだよ。
だから時間をかけて
慎重に研究するつもりだよ。」
と松戸博士。
 
そして、こう続けた
「このウィルスを使って
多くの人を健康にする事が
できるような気がするんだ。
それこそが長い間
自分が目指していたものなんだ」
そして今まで
全ての人が健康になるために
どうすればいいのか
研究を重ねてきた日々が
これで一つの区切りを
迎えられるのじゃないかという
思いを話した。
 
 
「わかった。
その熱意はよくわかったよ。
研究の成果を期待してるよ。
ただし、間違っても
B級映画のような
マッド・サイエンティスト
 
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みたいには
ならないでくれよ」
と田中君。
 
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と答え、電話を切った。
 
松戸博士は、三人で協力し
ウィルスの分析を続けた。
 
様々な情報も調べたが
やはりこのウィルスに感染しているのは
松戸博士だけのようだった。
 
何かのウィルスが松戸博士の体内で
突然変異を繰り返し
今のような状態になった可能性が高かった。
 
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この事にも何かの意味があるのだろうか?
 
ウィルスを培養し
人体への安全性を調べ
これなら大丈夫だと
思い始めた頃、
異変が起き始めた。
 
松戸Bの体が透け始めたのだ。
 
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やがて松戸Cも同様に透け始めた。
 
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《 以下、次回へ続く 》
 
おそまつさまでした。

13
2019
comment
15

「松戸博士の研究 その⑥」について

「松戸博士の研究 その⑥」について
 
《 前回からの続き 》
 
一人きりなので
マナーモードを解除していた。
鳴り響いた着メロは
盆踊りの定番曲
『炭坑節』だった。

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以前、ウケを狙って設定し、
そのままになっていた。
 
何だか体が曲に合わせて
動き出してしまう。
 
次いで曲に合わせて
歌いだしたくなってしまった。
 
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♪月が出た出た 月が出た (ヨイヨイ)
三池炭坑の上に出た
あまり煙突が高いので
さぞやお月さん けむたかろ (サノ ヨイヨイ)
 
何だか、不思議に気持ちよくなって
盆踊りみたいに踊り出してしまった。
体が勝手に踊りだしてしまったのだ。
 
歌詞も覚えていたらしく
すらすら口から出て歌い始めていた。
 
気が付くと
フルコーラス
歌い、踊っていた。
 
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ハッとしてスマホを手に取り
電話に出る。
 
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その声は、高校時代からの親友である
田中君だった。
 
「ごめん、ごめん。
ちょっと、いろいろあって」
 
「体の調子が悪いんだって?
何か病気になったって聞いたもんだから
電話してみたんだけど」
と田中君が話す。
 
「ああ、何だか
体が熱くなって
でも高熱というほどじゃ
ないんだ。
ただ今までにない
新種のウィルスらしい」
 
「えっ!
それは大変じゃないか!」
 
「そうなんだけど、
重篤な症状には、
ならないみたいだ。
 
何だか、歌いだしたり
踊りだしたくなる
ような症状が出るんだ」
 
「ハア?何だ、そりゃあ」
 
「わからないけれど
これから、調べてみるよ」
電話を切った松戸博士は
試しに様々なCDをかけてみた。
 
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音楽が鳴りだすと
踊りたくなって
歌いたくなる。
踊りを知らなくても
知らない歌でも
勝手に体が動き出し
ハミングで歌い出してしまう。
 
そして何故だか
気分がよくなる。
 
何もかも忘れて
歌い、踊りたくなるのだ。
 
音楽が終わると
さっぱりした気分になる。
 
以前、父親が子供の頃
読んだという漫画を
手に取った事があり
その中に『いなかっぺ大将』
というのがあった。
 
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主人公は音楽を聞くと
踊り出してしまうという
キャラクターだった。
 
まるで あれと同じではないか。
 
しかし、今は
そんな事はどうでもいい。
 
松戸博士は三人で
このウィルスを詳しく調べた。

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このウィルスは宿主に寄生し
増殖するのだが
健康な状態だと活動しない。
 
体力が低下した時に活動を開始する。
精神が弱ると体力に連動するので
実質的には精神力が低下した時
正常な思考力が停止した時も
同様に活動を開始すると推測された。
 
つまり、このウィルスは
宿主の体力・気力が低下すると
自己保存のため、活動を開始する。

その活動とは音楽に反応し
宿主を歌い、踊らせる。
それは宿主の生命力を活性化させる。

ウィルス自身が生き延びるために
宿主を死なせないようにするためらしかった。
 
ウィルスは人間にとって
悪影響を与えるものばかりではなく
プラス効果を生むものもある。
このウィルスはそういう類いのもの
なのだろうか。
 
もしかしたら
人間の健康に役立つ
ウィルスになるかもしれない。
 
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松戸博士は、さらに研究を重ねた。
 
それにしても
このウィルスの発生源、感染源は
どこなのだろう?
誰かから感染したのなら
その誰かも同じ症状が出ているはずだが
そんな話は聞いたことがないし
ニュースにもなっていない。
 
三人の松戸博士の議論の末に
たどり着いたのは
松戸博士自身が
発生源なのではないかと
いう事だった。
 
そもそも自分自身が三人になり
三分割というか三倍になった事自体が
不可解だし、その後このウィルスが
発生したのだ。
ここに何か関連があるのではないか?
 
何かの必然が働いたのではないか?
松戸博士が人類の
ターニングポイントに
なろうとしているのではないか?

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松戸博士は、ある仮説を立てた。
09
2019
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20

「松戸博士の研究 その⑤」について

「松戸博士の研究 その⑤」について
 
《 前回からの続き 》
 
「何という事だ。
健康になるために
日夜研究をしていた自分が
病気になるなんて」
松戸博士は、医者の不養生かと
嘆きながらも苦笑いを浮かべ
自身の治療にあたった。
 
当然のように
三人とも同じ症状だ。
 
発熱とまではいかないが
体温が上がって体中が熱くなってくる。
 
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じっとしていられなくなるのだ。
 
変だなと思って
念のために採血して
調べた結果わかったのだ。
 
血清を調べると
どうもウィルス感染の疑いが
濃厚になった。
 
抗体が見つかっていない
新種のウィルスのようだった。
 
死に至るようなウィルスなのだろうか?
 
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ウィルス自身は、自己増殖できないので
宿主へ寄生し、その細胞に感染させ
宿主がその事に気付かず
ウイルスたんぱくを増殖させて病気になる。
 
だから逆に言えば
宿主がいなければ
ウィルスは生存できない。
 
だからウィルスも
宿主をうまく利用して
ゆっくり感染させ
長く生き延び
さらに他の個体に感染させようと
悪知恵を働かせるタイプもある。
 
これは、厄介な事になった。
まずは、このウィルスを徹底的に調べる事だ。
 
松戸博士は
病気のため休みますと
大学に届け出をし
自宅にある研究室に自分を隔離し
ウィルスの究明にかかった。

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まず大きな疑問が浮かんだ。
 
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と松戸A
 
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と松戸B
 
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と松戸C
 
「でも自分が気づかないだけで
誰か身近な人から感染したり
大気中からの感染もあり得るし」と松戸A
 
「もし、そうだとすると
かなりの人に感染している事に
ならないか?」と松戸B
 
「ありうるなあ。
潜伏期間が長いのかもしれないし、
そもそも、どのような症状が
起きるのか、まだわからないし」と松戸C
 
最悪の場合も想定して
自身を検体として調べ始める事になった。
 
ウィルスは普通
宿主の細胞内に自分の
遺伝子を送り込んで
自身を増殖させようとする。
 
 
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その遺伝子を調べれば
正体がつかめると三人は考えた。
 
現状のあらゆるウィルスデータを分類し
特性をリストアップし
自身の採血から作成した培養サンプルで
反応実験を繰り返した。
 
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昼夜を分かたず実験と
その結果の分析を行っていると
さすがに疲労困憊し、
うたた寝をしてしまった。
 
その時、スマホが鳴った。
 
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《 以下、次回へ続く 》
 
おそまつさまでした。
 
06
2019
comment
17

「松戸博士の研究 その④」について

「松戸博士の研究 その④」について
 
《 前回からの続き 》
 
二十歳を過ぎた松戸青年は
いつも通り三人で議論を重ねていた。
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他人が見たら独り言の応酬にしか
映らないのでもっぱら自宅で話し合う。
 
話し合う時は、いつも
 自由に飲んだり食べたりしながら
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 調べ上げた事を話し合う。
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と松戸A
 
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と松戸B
 
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と松戸C
 
「子供が、お菓子好きで
お菓子ばかり食べるのは
良くないけれど
好きなものを楽しく食べてるってのは
いい事だよなあ」と松戸A
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「おもちゃで遊ぶのと同じで
子供にとってお菓子を食べて
楽しむのは必須の事なのかもしれないなあ」と松戸B
 
「そうかもしれない。
そういう楽しみを
味わう事なく大人になったら
ちょっとヤバイかも」と松戸C
 
「そうだなあ。
お菓子食べ過ぎて栄養が偏って
病気になったり、虫歯になるのは
良くないけれど、そういう楽しみを
経験しない事の方が
怖いような気もするなあ」と松戸A
 
「それは肉体の健康より
精神の健康の方が
大切だという事かい?」と松戸B
 
「いやっ、そういう結論には
ならないけれど、
虫歯の1本や2本より
その人を決めてしまうような
もっと大事な事が
あるような気がするんだよ」と松井A
 
「お菓子を食べて楽しく過ごし
でも食べ過ぎないようにコントロールして
歯もきちんと磨いて
健康でいられるのがベストだけれど、
人間だから何もかも
そうはうまくいかないって事か」と松戸C
 
「そうなんだよ。
全てのあらゆる事を
理想的な完璧な状態で
過ごすのは無理なんじゃないか、
そう思う訳。
だって、それが人間だもの」と松戸A
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「ああ、確かにそれは言えるなあ」と松戸B
「人間ってのは、常に間違えたり
失敗したりする生き物だからなあ」と松戸C
 
「でもさあ、よく考えたら
子供だから虫歯の1本や2本
あってもしょうがないという考えは
間違ってるなあ。
それとこれとは別だなあ。
取り消すよ」と松戸A
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「うん、まあ、そうだなあ」と松戸B
 
「だからさあ、
女子高生のグループが
昼休みに持ち寄ったお菓子を
おしゃべりしながら
楽しそうに食べたりするのは
無意識のうちに
心の健康をいい方向へ
もっていこうとする本能みたいなものかも」と松戸C
 
「高校生の頃は、そんな事に全然
気付かなかったけれど
生きていく本能のようなものが
自然にそうさせているのかもなあ。
だから女性の寿命が長いんじゃないのか」と松戸A
 
「おばさん同士の井戸端会議なんかも
そうなんだろうなあ」と松戸B
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とまあ、こんな感じで
時間ができると三人で
議論を重ねていた。
 
そして
自分たちの話した内容を
パソコンに記録し
そこから健康に生きていくための
大切な事柄を導き出そうとしていた。
 
しかし考えだけでは、人は健康になれない。
いくら画期的で
新しい考え方に基づく論文を
書き上げても、それを実践しなければ
誰もが健康に生きていく事にはならない。
 
老若男女、宗教や人種
経済格差などの影響を受けずに
誰もが健康に生きていく、
それが目指す目標だ。
 
しかし、その道は果てしなく遠い。
「若者たち」と同じだ。
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松戸青年は博士号を取得し
大学に講師として残り研究を重ねた。
 
20代があっという間に過ぎ去り
気が付いたら30代になっていた。
 
ある日、松戸博士は、
事もあろうに病気になってしまった。
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《 以下、次回へ続く 》


おそまつさまでした。



02
2019
comment
20